へなちょこ調剤事務の備忘録

永遠の初級者調剤事務の「よよ」が、日々の仕事で気づいたことや学んだことを忘れないようにメモしていくブログです。

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公費制度を簡単に説明する

公費負担医療制度について

患者さんから受け取った処方せんに公費番号の記載があったり、そっと「自己負担上限額管理票」を手渡されたりすると、ドキドキしませんか?

わたし、永遠の初級者調剤事務ですから…💦

今回はそんな公費負担医療制度についてお伝えします。ぜひ参考にしてくださいね!!

 

もくじ

 

公費負担医療制度とは?

公費負担医療制度とは、国や地方自治体が医療費の一部または全額を負担する制度です。

これにより、通常は患者さんが自己負担しなければならない医療費が軽減され、社会的に弱い立場の人々や特定の条件を満たす患者さんが必要な医療を受けやすくなる仕組みになっています。

調剤事務においては、公費負担の適用範囲を正しく理解し、処理を行うことが求められます。

 

国の公費負担医療の種類と優先順位

法別番号 区分
13 戦傷病者特別援護法による ◯療養の給付
14 ◯更生医療
18 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律による ◯認定疾病医療
29 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律による ◯新感染症の患者の入院
30 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律による医療の実施に係る医療の給付
10 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律による 結核患者の適正医療
11 結核患者の入院
20 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律による 措置入院
21 障害者自立支援法による ◯精神通院医療
15 ◯更生医療
16 ◯育成医療
24 ◯療養介護医療及び基準該当療養介護医療
22 麻薬及び向精神薬取締法による入院措置
28 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律による ◯一類感染症等の患者の入院
17 児童福祉法による ◯療育の給付
79 ◯障害児施設医療
19 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律による ◯一般疾病医療費
23 母子保健法による養育医療
51 特定疾患治療費、先天性血液凝固因子障害等治療費、水俣病総合対策費の国庫補助による療養費及び研究治療費等
52 児童福祉法による小児慢性特定疾患治療研究事業に係る医療の給付
53 児童福祉法の措置等に係る医療の給付
66 石綿による健康被害の救済に関する法律による医療費の支給
25 中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律第14条第4項に規定する医療支援給付
12 生活保護法による医療扶助

公費には優先順位があり、この表はその優先順位に従って上から順に並んでいます。

 

地方自治体の公費負担医療の種類

地方自治体が提供する公費は「地方公費」「地方公共団体公費」「地方自治体公費」などと呼ばれています。

これらの公費は、各地方公共団体が制定した条例に基づいて運営されており、地域住民の医療費負担を軽減するためにさまざまな助成制度が設けられています。そのため制度の名称や内容は地方公共団体によって異なります。

 

💊このようなものがあります
  • 乳幼児等の児童に係る医療に関する制度
    ・例: こども医療費助成、乳幼児医療費助成
    乳幼児や子どもたちが医療を受けやすくするための助成制度です。

  • 障害者及び障害児に係る医療に関する制度
    ・例: 重度障害者医療費助成
    障害を持つ方々が必要な医療を受けられるよう、費用の一部を助成する制度です。

  • 母子家庭の母、父子家庭の父、およびその児童に係る医療に関する制度
    ・例: ひとり親家庭等医療費助成
    ひとり親家庭の経済的な負担を軽減するために設けられた助成制度です。

 

公費の併用について

公費は併用できる場合がありますが、併用する際には優先順位を考慮する必要があります。主に次の2つのパターンに分かれます。

  • 国と国の併用
    生活保護(12)と自立支援(21)の併用では、自立支援が優先されます。

  • 国と地方自治体の併用
    小児慢性特定疾患(52)とこども医療(各地方自治体で異なる番号)の併用では、国の制度(52)が優先されます。

  • 地方自治体と地方自治体の併
    取り扱いは地方自治体によって異なります。
    例えば、同じ「こども医療」でも、自治体によって番号が異なるため、薬局がどの地域で運営されているかによって、公費の取り扱いも変わってきます。

優先順位が混乱しないように、普段取り扱っている公費の優先順位を覚えておくと良いですね。

初めての公費や珍しい公費が来た場合は、適切に調べて対応できるように準備しておきましょう!!

処方せんに2種類の公費が記載されている場合、優先順位が高い公費を「第一公費」、次に優先される公費を「第二公費」としてパソコンに入力していきます。

 

公費負担の仕組み

調剤薬局で公費を扱う場合、通常の保険請求に加えて以下の手順を踏むことが多いです。

  1. 公費の種類を確認
    患者さんの医療券や受給者証を確認し、公費番号や対象期間を把握します。これらは、レセプト(診療報酬明細書)作成時に必須の情報です。

  2. 公費負担割合の計算
    公費は患者さんが負担する金額を補填する形で計算されます。例えば、医療費の合計が10,000円で保険適用後の患者負担が3割の場合、公費がこの3割分を一部または全額補助します。

  3. レセプトの記載
    公費負担分は、通常の保険分とは別に記載します。例えば「○○県難病公費」などと記載し、適切な請求ができるようにします。

 

💡公費の取り扱いには、いくつか注意点があります。

  • 期限切れに注意
    受給者証には有効期限が設定されています。期限が切れている場合、公費負担が適用されません。

  • 適用範囲の確認
    公費には対象となる薬や医療行為が決まっていることがあります。すべての医療費が対象になるわけではないので、必ず確認が必要です。

  • 患者さんへの説明
    患者さんが公費の仕組みを知らない場合、説明が必要になることもあります。「なぜ支払額が変わるのか」を丁寧に伝えましょう。

 

自己負担上限管理票とは?

自己負担上限額管理票は、指定難病、小児慢性、更生医療、精神通院、肝炎などの公費負担医療制度を利用されている患者様が持参される書類です。この書類には患者さんの医療費自己負担の上限額支払い履歴が記載されています。


自己負担上限額とは?

患者さんの自己負担上限額は、市町村民税の課税額(所得に応じて異なる)治療内容などを基に決定されます。この制度により、医療費の負担が重くならないよう配慮されています。

自己負担額が上限額に達した場合、それ以降その月の支払いは無料となります。


管理票の使い方

上限額管理票は、患者さんが医療機関や薬局を利用するたびに、支払った金額を記載します。各医療機関や薬局が記入することで、1か月間に支払った自己負担額の合計が管理されます。


記入例

以下の画像は、自己負担上限額管理票の記入例です。記入内容は公費の種類によって多少異なる場合がありますが、基本的には以下のような情報が記載されます。

  • 医療機関や薬局の名称
  • 診療日または処方日
  • 支払った自己負担額
  • 月間の累計金額

  • 赤文字のところを実際は黒文字で記入します。
  • 公費によってレイアウトは変わってきますが、記入する内容は同じです。
  • 認印を押す欄があるタイプもあります。

 

まとめ

公費負担医療制度は、患者さんの医療費負担を軽減し、必要な医療を受けやすくするために国や地方自治体が設けた大切な仕組みです。調剤事務においては、公費の種類や優先順位をしっかり理解し、正確に対応することが求められます。特に、処方せんに複数の公費が記載されている場合は、優先順位を確認し、適切に処理することが重要ですね!!

日々の業務の中で「初めての公費」や「珍しい公費」に遭遇することもありますが、その都度確認を行い、知識を積み重ねていきましょう。適切な対応が患者さんの安心につながり、自分自身のスキルアップにもつながります。

この記事が、少しでも公費負担医療制度の理解の助けになれば幸いです♡

 


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